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2024.09.08
2024.04.13
土地改良区とは、一定の地域の農業者たちが集まって土地改良事業を行う団体のこと。農業環境を整備するためには欠かせない団体ですが、「いらない」と考える方もいることでしょう。本記事では、土地改良区がいらないと考えられる理由について解説!さらに、本当に脱退が可能かどうかについて紹介します。
\【全14ページ】住み替えガイドブック/
目次
出典:pixta.jp
土地改良区とは、一定の地域の農業者たちが集まって土地改良事業を行う団体のこと!
農業用水路や農道、農地の整備などの土地改良事業を実施しており、エリア内の土地や農地、水路などをしっかり管理していきます。
かつては、かつては「耕地整理組合」や「耕地協会」などが土地改良事業を担っていましたが、1949年の法改正により「土地改良区」へ一本化されました。(※)
土地改良区という言葉を聞いた際、エリアをイメージした方もいることでしょう。しかし農業は地縁的性格が強い傾向にあるため、地区=団体というニュアンスでこの言葉が使われています。
※“公益社団法人 農業農村工学会 公式HP”参照
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土地改良区のメリットは、農業支援が受けられるところです。コンパクトサイズの畑であれば1人で整備することはできますが、かなりの規模となると自力で管理するのが難しくなります。とくに1人で畑を持っている方や高齢者の方などの場合は、なおさら管理で苦労することでしょう。
しかし土地改良区があることで、農業支援を受けられます。例えば畑へ水を供給する際、自力で農業用水を確保するのは難しいでしょう。
しかし土地改良区にため池やダム、水路などを整備してもらったり、必要な用水ポンプを設置してもらったりしてもらうことで、水の確保がしやすくなります。
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土地改良区は、多くの農業事業者が参加するためエリア内での情報共有がされやすくなります。具体的な事業内容について団体で話し合って整備活動をするため、エリア周辺での畑環境がどのような状況になっているのか把握することが可能です。
もし「畑に十分に水が供給されていなかった場合で、遠くのため池の環境悪化が原因」というように意外な原因にも気づきやすくなるかもしれません。
さらに農業事業者同士での交流が深まりやすくなるので、お互いの畑の状況についても情報共有がしやすくなるでしょう。
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土地改良区で活動した場合は、税金が優遇されやすくなります。主に法人税や事業税、事業所税、登録免許税、印紙税、固定資産税などが非課税の対象です。このような点から、土地改良区は税金対策がしやすい団体ともいえます。
ただし課税事業者として活動している場合は、消費税の納税義務があるので注意しましょう。
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土地改良区が必要とされる理由は、土地改良事業によって造成された施設を管理するためです。具体的には農業用水や地域用水、土地、農地、土壌などの管理を行っていきます。
もし土地改良区がないと、田んぼの環境が乱れてしまったり、水路に汚れがたまり畑に十分水が流れなかったりとさまざまな問題が起こるようになるでしょう。
そのため農地の環境整備には、土地改良区の活動が重要です。
【土地改良区で実施している事業】
・農地の区画整備
・水路敷地の除草
・水路の整備補修、清掃
・農業用の用排水施設(農業用ダム、頭首工、用排水路、用排水機場)の管理
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土地改良区は、農業支援が受けられやすくなったり、税金が優遇されやすくなったりとさまざまなメリットがあります。しかし農業事業者の中には、「土地改良区がいらない」とネガティブに考える方もおり、脱退を検討する方も少なくありません。
このようなネガティブに考える理由には、土地改良区が抱える問題点が要因となっている可能性があります。具体的にどのような問題点を抱えているのか、1つずつ見ていきましょう。
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農用地を確保している場合は、土地改良法第3条に基づき土地改良区に組合員として加入しなければなりません、たとえ貸借地であっても農業委員会の承認が得られれば耕作者として団体に参加する必要があります。
このような制度の仕組みから、農業事業者の中には「土地改良区はいらない」と考える方は少なくありません。
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土地改良区の賦課金とは、土地改良区の維持管理費として徴収されるお金のことです。運営費用や事務費、維持管理費、工事費などさまざまな側面で費用が発生し、所有している土地に応じて賦課金が徴収されます。
農業事業で十分な利益が得られれば賦課金の支払いは問題ないのですが、豊作が乏しく赤字状態に陥っている事業者の場合は苦しい負担といえるでしょう。
もし、賦課金を滞納してしまうと、督促状という形で納付通知が送られてきます。さらに督促状を無視し賦課金の滞納を続けてしまうと、土地の差し押さえを受ける可能性があるので注意が必要です。
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農地の灌漑や水不足などを防ぐために、土地改良区では利水調整規定が定められています。利水調整規定とは、水の利用に関するルール設定のことで規定が定められてしまうと適切な範囲で農業用水を使わなければなりません。
少しでも作物が取れるように自由に農業用水を活用したいところですが、土地改良区の利水調整規定があると難しいでしょう。
さらに利水調整規定によるルール作成は、構成するのに時間や労力がかかるのがデメリット!国の方で規定例を設けていますが、複数の水路系統があったり、上流と下流の土地改良区同士でルールを調整しなければならなかったりとイレギュラーなケースがあるため作成に時間がかかってしまいます。
農作業に時間を割きたいにもかかわらず、利水調整規定によるルール作成があると事業者にとってはかなりの負担でしょう。
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土地改良区では、原則として令和4年度から複式簿記による会計処理が義務化されました。複式簿記では、賃借対照表を作成し土地改良施設の資産評価をしなければなりません。
しかし土地改良施設の資産評価は土地の特性や評価基準の違い、施設の種類などさまざまな側面から評価しなければならないため、自団体のみで処理をするのは難しいでしょう。
少しでも会計処理の負担を減らしたい場合は、税理士のサポートや周辺地域・土地改良区連合などの協力などが必要かもしれません。
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土地改良区で抱える問題は、過疎化による人員不足です。地方によって農村の人口減少や高齢化が進んでおり、深刻な人員不足に陥っているところもあります。人員不足に陥ってしまうと1人あたりにかかる労力が増えてしまうので、人によっては土地改良区での活動が苦痛に感じやすくなるでしょう。
さらに土地改良区では議長、副議長、会計、事務局長などを決めなければならないので、人員が少ないエリアだとなおさら事業負担がかかってしまいやすくなります。
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土地改良区で抱えるデメリットを理由に、辞めようと考えている方もいることでしょう。結論からいうと、土地改良区は原則として脱退することは認められていません。ただし以下の3つの方法であれば、脱退できる可能性があります。
・畑以外の地目への農地転用
・非農地と認められ地区除外される
・離農する
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1つ目の方法は、畑以外の地目への農地転用です。所有するすべての農地を畑以外の地目へ農地転用することで、脱退が認められます。例えば田んぼや畑を庭園に変更するというようなイメージです。ほかにもスーパーや資材置き場、住宅、駐車場などさまざまな用地に変更できます。
ただし農用地区域内農地や甲種農地などエリアによって農地転用できない箇所もあるため、申請する際は注意が必要です。
農地転用をするためには、都道府県知事や指定市町村などに許可申請し審査に通らなければなりません。
農地転用の手続きの詳細については、農林水産省の公式HPに記載されているのでチェックしてみてください。
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地区除外とは、土地改良区の管轄の農地を農地以外のものに変更することで認められる認定証のことです。
先ほど紹介した農地転用をすることによって非農地と認められれば、土地改良区から脱退することが可能。ほかにも街の発展に伴う整備や農業振興地域整備計画などさまざまな理由で、農地から除外される場合もあります。
ただし非農地として認められるためには、非農地認定申請書や土地所有権を証明する書類、非農地をする理由が示された書類などさまざまな書類を用意しなければなりません。
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農業自体を手放したい場合は、離農を検討してみるとよいでしょう。離農をするためには、農業委員会に相談または報告をし「農地法」第4条第1項、第5条第1項に基づき「許可申請書」を自治体に提出する必要があります。
もし無断で離農をしてしまうと、農地法違反で罰金や罰則などのペナルティを受けるリスクがあるので注意しなければなりません。
離農の手続きの流れは、以下の通りです。ぜひ、参考にしてみてください。
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土地改良区がいらないと感じた場合、農地転用や離農などを理由に脱退することは可能です。ただし条件やケースによって脱退が難しい場合もあり、必ずしも抜けられるとは限りません。もし土地改良区からの脱退で苦戦している場合は、専門家やサポートセンターに1度相談してみるとよいでしょう。
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