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2023.08.28

2023.08.27

離婚で家を売却して住み替える!財産分与や名義変更、任意売却について解説

離婚に伴う不動産の財産分与とは

財産分与とは、夫婦が離婚した場合に相手方に対して婚姻中に2人で築いた財産を貢献度に応じて分けることで、請求期間は離婚成立の日から2年間に限られます。

 

財産分与の対象とされる財産は、預貯金や株式などの金融財産や貴金属、車および不動産などすべてにわたります。しかも、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も折半になることから、住宅ローンの残債も夫婦で半分ずつ分けて負担するのが原則です。

 

なお、婚姻中はずっと夫が働き妻が専業主婦であっても財産は2人で築いたとみなされるため、その場合の財産分与でも折半になるのが一般的です。なお、財産分与はすでに持っている半分の権利どおりに財産を実際に等分する行為であり、財産を新たに譲る贈与とは異なるため、財産分与によって財産を渡しても原則として贈与税はかかりません。

 

財産分与の割合と対象範囲

家を財産分与で分ける際は、家をもらい受けた者が相手方に対して、家の評価額の半分に相当する金銭を渡して持分を買い取る場合があります。ただし不動産の評価額には「公示地価」「基準地価」「固定資産評価額」「路線価」「時価(流通相場)」など複数あります。

 

不動産の財産分与では、当事者間の合意内容に従って不動産を評価すればよいため、時価(実際に取引される流通相場)を複数の不動産会社へ査定を依頼して判断すると良よいでしょう。

 

離婚によって不動産はどうなる?

不動産はそれ自体が分割できないため、不動産を等分してお互いが保有することはできません。不動産や車など分割できない現物の場合には、不動産を売却して得たお金を等分するか、不動産を保有する側が相手方の所有権持分の価値に見合うお金やその他財産を相手方に提供して精算します。

つまり、不動産を保有する側が相手方の持分を買い取るという方法をとるのです。

 

ただし、売却金で住宅ローンが完済できない場合には、不動産の財産分与が難しくなりもめ事が起こりやすくなります。

 

住宅ローンの支払いと抵当権について

家を住宅ローンで購入する際には、金融機関はその家に「抵当権」という権利を設定します。ただし、金融機関からお金を借りて購入した家であっても所有権は100%所有者のものであり、ローンの返済が遅れない限りは何の制約もなく自由に使用できます。

 

しかし、ローンが返済できなくなると金融機関は抵当権に基づいて家を差押え、競売によって家を現金化して貸し付けたお金を回収します。抵当権とは、融資と引き換えに万一の場合の資金回収手段として、不動産を担保にとるという権利なのです。ちなみに、ほとんどの方は住宅ローンで家を購入するため、ほとんどの家には抵当権がついています。

 

なお、抵当権がついた家を売却する際は、家の売却金で住宅ローンを一括返済して抵当権を抹消した後に、家の所有権を新所有者へ移転します。抵当権がついた状態でも家は売却できますが、購入前の抵当権が残っている家は債権者に差し押さえられる可能性があるということになり、所有権を脅かす抵当権が残る家は誰も買いません。つまり、ローンを完済して抵当権を抹消しなければ、実質的に家の売却ができないということになるのです。

 

家を売却して住宅ローンを返済する

家を売却するには、売却金などで住宅ローンを必ず完済する必要があります。では、住宅ローンが完済できない場合とはどのような状況なのでしょうか。

 

オーバーローンとは?

「オーバーローン」とは、家の売却金と自己資金を足しても住宅ローンが完済できない状態をいいます。

 

購入価格いっぱいの金額で住宅ローンを組んで購入し、短期間のうちに売却する場合に起こりやすくなります。また、売却相場が予想外に大きく下落した場合などにも起こりやすくなります。

 

特に、住宅ローンの返済条件が「元利均等方式」の場合には月々の返済額が一定ですが、返済金に占める金利の割合が高いため、購入後の数年間は思ったほど元本が減っていません。

そのため、元本の減少よりも売却相場の下落スピードが速い場合にはオーバーローンになりやすいのです。

 

なお、残債が4,000万円ある家が4,000万円で売れたとしても、売却金だけでは住宅ローンは完済できません。それは、売却の諸費用が約150万円(売却価格の約4%)かかるため、売却金から返済にまわせるお金は最大で約3,850万円になるからです。

 

不足分は自己資金を足して完済すればよいのですが、新居への引っ越しや新生活の準備金などにもお金が要るため、手元資金が少ないためにローンが完済できず家が売れないこともあるのです。

 

アンダーローンとは?

アンダーローンとはオーバーローンの反対で、売却資金と自己資金を使えばローンが完済できる状態をいいます。よほど売却相場が下落するか売り急いでいて格安で売却でもしない限りはローンが完済できるため、売却に苦労することは少ないでしょう。

 

ただし、急な売却相場の下落でオーバーローンに転ずる可能性がないとも限りません。また、オーバーローンであっても繰り上げ返済で元本を減らしたり売却相場が上昇すれば、将来的にアンダーローンへと変化する場合もあります。

 

不動産を所有しているなら、売却や住み替えを検討していなくても定期的にローンの残債や売却相場を意識しておくこと、また万一のためにある程度の自己資金を確保しておくことが大切だといえます。

 

任意売却とは

任意売却とは、オーバーローンの状態でも抵当権を消せるように住宅ローンの債権者である金融機関の承諾を得て行われる売却方法です。

 

まず、ローン返済を3〜6か月間止めて滞納状態を続けます。そして保証会社が債務者に代わって住宅ローンを完済(代位弁済)し、銀行の住宅ローンの回収債権を譲り受けます。

 

保証会社は、裁判所へ不動産の競売手続きをとり強制執行へと手続きが進んでいきます。任意売却はこの裁判手続きの合間をぬって任意で売却活動をして、競売よりも高額で売却してより多くの資金を回収する目的をもった手続きです。

ただし、競売のための強制執行の着手までに迅速に現金化をするために、任意売却では売り出し価格を安く設定する場合がほとんどです。

 

なお、任意売却は裁判所の競売手続きを理解した者でないと良い条件で成功しないため、任意売却の担当者には法的知識・経験値・交渉力が求められます。

 

任意売却のメリット

オーバーローンの状態で家を売る任意売却のメリットとはどのような点でしょうか。

 

【債務が圧縮される場合がある】

オーバーローン状態で住宅ローンが完済できなくても、家を売却して資金を回収するために金融機関は抵当権の抹消に同意します。その際に、返済しきれずに残った借金は、話し合いの中で債権者が一部を放棄して債務が圧縮される場合があります。

 

また、早期に売却して現金化し債務のほとんどが返済できれば、日割り計算される利息や遅延損害金が少なくなるため、間接的に債務の増加が抑えられることになります。

 

【周囲に知られずに売却できる】

離婚に伴う任意売却では、周囲に離婚に伴う財産分与もしくは返済苦のために売却することを知られたくない状況があり、任意売却に関わる不動産会社は広告や情報の広がりを制限する場合がよくあります。

 

一方で、競売なら裁判所などの掲示板や専用Webサイトに競売不動産の住所や家の写真が掲載されます。任意売却はそのような情報の掲載手続きは不要なので、周囲に知られずに売却がしやすい方法といえます。

 

【売却資金や引っ越し時期の融通がきく】
競売では期日どおりに必ず家を明け渡す必要があり、債務者の都合を一切くみ取ることなく期日が来れば強制的に退去させられます。

 

しかし、任意売却は家を現金化して債務者を退去させる目的があるものの、手元に資金がほとんどない債務者の退去をスムーズにするために、債権者から下記の費用が出ることがあります。

しかし、これらは債権者の善意によるものであり必ず用意してもらえるものではありません。また、新生活費用などを交渉をするなら、少なくとも売主はできる限り早く高く売る努力をするなど、債権者に協力する姿勢は必要でしょう。

 

  • 引っ越し費用
  • 賃貸マンションの契約費用
  • 当面の生活費用

 

任意売却のデメリット

任意売却を検討する場合には、メリットだけではなくデメリットも充分に理解しておきましょう。

 

【個人信用情報にローン滞納履歴の傷がつく】

任意売却では裁判所手続きに入るために住宅ローンの滞納を数か月続けます。債務者の個人信用情報には住宅ローン滞納の記録が数年間(約7年といわれる)は残るため、金融機関からの信用がない数年間は一切のローンが組めない状態にあると覚悟しなければなりません。

 

【連帯保証人から同意を得なければならない】

任意売却の準備としてローンを数か月滞納すれば、連帯保証人へ連絡が行って返済を迫られるなど連帯保証人を驚かせてしまいます。そのため、任意売却を行う前にはこれから起こることの経緯を自分で説明して、連帯保証人に承諾・対策・安心をしてもらうようにしましょう。

 

【任意売却で残った借金は分割返済していく】

任意売却後に残った借金は免責されずに普通債務として残り、債務者は債権者との話し合いで決めたスケジュールや金額にしたがって返済し続けます。

 

離婚後もそのまま住み続ける?家を売る?

離婚後もその家で今までどおり環境を変えずに住み続けたいと考える方は少なくありません。なお、2人とも出て行って賃貸したいと考える方がいますが、住宅ローンは自己居住が原則であって債権者の承諾なく賃貸するのは契約違反になるためご注意ください。

 

夫所有のままで夫が住み続ける

1つ目は、債務者である夫がそのまま居住しながら住宅ローンを返済し続ける場合です。この場合は主たる債務者ではない妻が出て行くだけであり、離婚前と状況はあまり変わりません。

 

妻は財産分与として、家の半分の持分に相当するお金などを夫に要求するでしょう。しかし、例えば売却相場が4,000万円の家の半分のお金(2,000万円)を用意するのは困難です。

 

また、妻としては離婚して自分は家を出て行くので、これを機に連帯保証(もしくは連帯債務)の地位を解除して、夫の身内から別の人を立ててほしいとお願いするでしょう。心情的には理解できますが、住宅ローンの契約において保証人の変更は簡単には聞き入れられないのです。

 

夫所有のままで妻が住み続ける

2つ目は、住宅ローンの契約はそのまま変えずに妻がそのまま住み続け、夫は出て行って住宅ローンの支払いを継続する場合です。子どもがいる場合などは引っ越しさせず環境を守れます。

 

ただし、出て行った夫が自分の生活を優先して、住宅ローンの返済を怠る可能性があります。滞納をしても居住する妻らはすぐに気づくことができず、妻が連帯保証人であっても滞納から数か月経過するか、競売手続きに入る段階で初めて知らされることになるのです。

 

そもそも、住宅ローンは自己居住が必要条件であるため、債務者である夫が離婚で家を出たなら、契約違反となって住宅ローンの維持すら危うくなる可能性があります。債権者への状況説明や承諾が必要になるでしょう。

 

夫から妻へ名義変更する

3つ目は、夫は出て行って妻が住み続けるので家の名義を夫から妻に変更し、今後は妻が返済していくという場合です。ただし、専業主婦ないしはパートタイマーなど低収入で不安定な雇用の場合には、夫と同額のローンを組むのは困難です。

 

また、親族などに資金調達をお願いしても高額の購入資金は簡単に用意できません。また、自己居住でなければ親族が住宅ローンを組むこともできません。そのため、妻が住宅ローンを組んで家とローン契約の名義を夫から妻へ変更できるケースはごく一部に限られるのです。

 

また、仮に住宅ローンがない状態の家を全部自分の名義にする場合はどうでしょうか。財産分与として適切な持分以上の所有権を夫から無償で譲り受ける場合には贈与税がかかるため、課税範囲に関しても注意が必要です。

 

家を売却してリースバックする

4つめはリースバックです。リースバックとは、不動産会社に売却した家を不動産会社から借りて住み続けるという方法です。リースバックならローンが完済できるかどうかさえクリアできれば、その後は家賃を払うだけでそのまま同じ環境で住み続けられます。また、固定資産税の負担や修繕費などが不要になります。

 

ただし、不動産会社が買い取る場合には売却相場よりもかなり安くなることが多く、家賃が高くて契約できるリース期間が短い場合もあります。

また、後日その家を買い戻せる場合がありますが、原則として売買契約時に特約として付けて約束しておく必要があります。さらに、買い戻し価格が流通相場よりも高額になる可能性がある点にもご注意ください。

 

離婚後も不動産を共有し続けるリスク

不動産の共有は、維持管理などでデメリットのほうが多いとされます。その理由は、ほとんどの決定は多数決で決めるため、自分の都合やタイミングで好きな決定ができないからです。

 

リフォーム・売却など不動産の重要な決定で意見が対立すれば解決に時間がかかり、意向に沿わない決定に従う場面がいずれ出てきます。また、離婚後に連絡を取り合って会わなければならないかもしれません。費用負担は原則として持分比率で按分して負担するため、お金がない時期には困ります。

 

このように、ほとんどの決定に共有者の合意が必要になることが、離婚後も不動産を共有すべきでない大きな理由のひとつです。離婚を機に売却してきれいに精算しておくことは、将来の懸念を減らす行動であるといえそうです。

 

まとめ

離婚をする場合には、夫婦は財産分与として共に築いた全財産をおおむね折半します。ただし不動産や車などは物理的に分けられないため、どちらかが保有してお金などで精算します。

また、どちらかが家から出て行くもしくは住み続ける場合に、さまざまな状況に応じて難易度や問題が異なります。さらに、売却しようにも住宅ローンが返済できない可能性があります。

 

離婚の財産分与や住み替え・任意売却・リースバックなど、不動産手続きでは不安や疑問がたくさん出てきます。さらに揉めごとに発展する場合もあります。そのため、疑問はできるだけ早く解消して、将来へ向けた最善の行動を自信を持って行えるようにしましょう。

 

 

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この記事を書いた人

ARUHI 住み替えコンシェルジュ
編集部

住み替えのプロ、ARUHI 住み替えコンシェルジュがわかりやすくご説明し、一人ひとりに寄り添った、安心できる住み替えを徹底サポートします。

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