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ARUHI 住み替えコンシェルジュ
編集部
住み替えのプロ、ARUHI 住み替えコンシェルジュがわかりやすくご説明し、一人ひとりに寄り添った、安心できる住み替えを徹底サポートします。
2024.09.08
2023.08.27
目次
\【全14ページ】住み替えガイドブック/
これから不動産を売却する場合には、売り出し価格を決めるために不動産会社の売却査定を受けます。売却査定はほとんどの場合に無料で受けられ、実際に売却する際には査定をしてくれた不動産会社に売却を任せなくても問題ありません。
売却査定の依頼方法は、不動産会社の店舗に訪問して直接依頼する、もしくはネットから一括査定サービスにエントリーするなどの方法があります。
多くの不動産会社は、この「既存住宅価格査定マニュアル」で定められた方法をもとに、不動産の売却査定を行っています。
なお、このマニュアルは平成26年3月に国土交通省が策定した「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を反映した内容で作成されていおり、業界標準といえるものです。
査定額とはどのような意味を持った価格なのでしょうか。査定額とは、さまざまな根拠をもとに計算し、おおむね3か月以内に高い確率で売れるであろうと推測した金額です。
ただし、査定額は「それぞれの不動産会社の見解に基づいた目安の金額」であるため、だいたい似通った数字にはなるものの、不動産会社ごとに金額が若干異なるのは不思議なことではありません。また、不動産市場に変化があれば査定額も変動するため、数か月前と金額が異なる場合も珍しくないのです。
不動産会社に売却を依頼する際に、この査定額で売り出さなければならないわけではなく、またこの金額で売れることを保証するものでもありません。あくまで目安の金額であることをご理解ください。
下記はいずれも不動産取引でよく見かける不動産価格です。
査定額 | 不動産会社がその時点から3か月以内に売れると推測した金額 |
売り出し価格 | 実際に売りに出した金額 値下げ交渉が入ることを想定して少し高めに設定するのが一般的 |
成約価格 | 実際に買主へ売却した金額 |
売却査定は、不動産会社に依頼しなくても下記のサイトを参考にして自分で目安の金額を推測することもできます。
1.は不動産の売却を終えた不動産会社がサイトに登録した取引事例です。
2.は新買主として登記された方へのアンケートの返信内容が登録されています。
1.と2.はいずれも信頼できる取引事例のデータベースであり、ネット環境とパソコンやスマートフォンがあれば、誰でもいつでも無料で利用できます。ただし、成約当時の状況(売り急ぎなどの事情・同時期の競合物件の数・物件の劣化状況など)は分かりません。
3.は売却中の物件がたくさん載ったWebサイトで、購入希望者が自分で購入物件を探すためのサービスです。一般的に、不動産ポータルサイトに掲載された価格は成約価格よりも5%ほど高く設定されているといわれます。
不動産会社が行う代表的な3つの査定方法について解説します。
簡易(机上)査定とは、実際に物件の内外を見ることなく直近の類似物件の取引事例や、公示価格・基準地価・路線価などの公的指数を参考に簡易的に計算する査定方法です。
簡易査定の結果は2〜3日以内に返答がくることが多く、なかには即日返答してくれる不動産会社もあります。ただし、簡易査定では物件の現状を確認することなく机上の計算だけで査定するため「4,300〜4,700万円」など大きく幅を持たせた金額で示されることがほとんどです。
訪問査定とは、机上の計算に加えて実際に物件の内外や周辺環境を見たうえで、より精度の高い金額を導き出す査定方法です。資料上では分からなかった現地の状況が加味されているため、簡易査定額よりもはるかに信憑性のある金額といえます。
訪問査定では、不動産会社の担当者が現地を訪問するため、売主とのスケジュール調整が必要です。そして、初回訪問から1〜2週間後に査定報告書を持った担当者が再度訪れ、売主へ内容を詳しく説明するのが一般的です。
AI査定とは、不動産会社の担当者が査定するのではなく、AI(人工知能)が過去の成約事例や不動産市場の動向などから査定額を計算する方法です。
AI査定では全てパソコン上で手続きが完結するため、不動産会社に連絡してやり取りするなどの手間がありません。そして、瞬時に査定額が分かるのも大きなメリットです。
ただし、AI査定サービスサイトにアカウントなどを登録してログインするなどの手続きが必要であり、AIが示す査定額は物件状況を加味していない「一般的な流通相場」であることも覚えておきましょう。
不動産の売却査定方法はおもに下記の3つです。
なお、居住用の不動産では(1)や(2)を使いますが、(3)についてはおもに投資用不動産で使われる理論です。
上記3つをそれぞれ解説します。
取引事例比較法は、居住用の区分マンションや土地を査定する際に使われます。
まず、査定対象の不動産と条件が類似した物件の、直近の取引事例をピックアップします。
そして、参考事例の不動産と査定対象の不動産とを比較し、参考事例の成約価格を2つの不動産の優劣の度合いに応じて補正しながら、査定対象の不動産価格を計算するのです。
直近の取引事例は、不動産会社だけが利用できる「レインズ」というサービスサイトから情報を得ています。なお、レインズは売却を担当した不動産会社に成約事例の登録を義務づけており、不動産会社を介した不動産取引のほぼすべてが登録されている、信頼性の高いデータベースです。
原価法は、区分マンションや戸建ての建物部分の価格を計算する際に使われます。
建物の再調達原価(その建物を新築で購入するのに必要な金額)から建物自体や設備の劣化分の金額を差し引いたものが、査定対象の不動産価格です。
また、土地については、公示地価・基準地価・路線価・固定資産評価額などの公的な基準指数に補正を加えて計算します。
収益還元法は、投資用不動産を査定する際に使われます。収益還元法には直接還元法とDCF法がありますが、一般的に広く利用されている直接還元法の計算方法をご紹介します。
計算方法は、1年間の家賃収入から運営経費を差し引いた純収益を利回り率(%)で割って100を掛けます。年間の純収益が500万円で利回り率が5%の場合の査定額は1億円です。
査定額 = 500万円 ÷ 5 × 100 = 1億円
取引事例比較法・原価法・収益還元法で計算しただけの価格は、まだ正確な査定額とはいえません。なぜなら、それぞれの不動産固有の状況が加味されていないからです。
査定額に影響する項目
交通アクセス | 駅までの距離・朝夕のバス便の本数・駅までの高低差・乗り入れる電車の種類や数 |
近隣の利便性 | 学校・公園・コンビニ・スーパー・ドラッグストア・フィットネスジム・病院・役所などの生活施設の充実度 |
底地の権利の種類 | 所有権か借地権 |
外観の劣化具合 | 屋根・塀・外壁などの劣化や汚損 |
室内の状況 | 壁・床・天井の劣化具合、設備の故障、リフォーム状況 |
周辺の景観 | ゴミ屋敷・放置空き地・荒廃した家 |
嫌悪施設の有無 | 墓地・資材置き場・異臭源(河川や化学工場)・パチンコ店・飲み屋街・ファッションホテル・風俗店など |
居住用区分マンションの場合には、さらに住戸の位置(回数やベランダの向き)・専有部分の状況・共用部分の仕様・共用設備の充実度・管理状況や総積立金額なども加味して査定します。
一方で、住み替えなど一定期日内に売却を完了させなければならない場合には、査定額よりも安い価格で売り出すことがよくあります。
また、住み替えにおいて一定期日内に仲介で買い手が付かない場合に、不動産会社が買主となって直接買取ると保証する特約(買取保証)があります。この場合には仲介手数料は要りませんが、買取金額は売却査定額の70%くらいになることも覚えておきましょう。
たとえ現地を訪問しない簡易査定であっても、ただ住所をいえば査定結果が出るわけではありません。より正確な査定額を知るためには以下の書類を揃えて事実確認をしておくべきです。
必ず用意すべき書類
あるほうが望ましい書類
(1)物件の状況
(2)ローンの残債
売却金で住宅ローンが完済できない(オーバーローン)の状態では抵当権が抹消できないため、不動産を売却することができません。そのため、ローンの残債を確認する書類として銀行からすでに送られているはずの「ローン返済予定表(償還表)」を確認します。
もしもオーバーローンの可能性が高いなら、住み替え(買い替え)ローン利用の審査、不足分をまかなう自己資金の準備、特殊な売却方法(任意売却)に切り替えるなどの検討が必要だからです。
(3)周辺環境の告知
住人しか知り得ない事実のなかでも特にマイナスイメージになる情報は、売却後に買主が知った場合には揉める原因になります。担当者には隠さずに全てを伝えておきましょう。例えば、治安や騒音や臭気、近所で起こった懸念事項、ゴミ集積所の清掃当番などです。
一方で、静かさや生活施設の利便性や公園の数など、アピールできるポイントもできるだけ多く伝えたほうがよいでしょう。
(4)売却理由
例えば、売却理由が離婚や返済苦などの場合には広告範囲を限定したり買取を推奨したりする場合があります。
また、住み替えの場合には買い替え特約・引き渡し猶予特約、相続財産の現金化なら買取保証をつけて初めから売り出し価格を低くする場合があるからです。
売却査定は査定額を知るために行いますが、実は査定額以上に重要な目的があるのです。
査定額とは3か月以内に高い確率で売れる価格という前提ではあるものの、相場を無視した高額な査定額を提示して売主から売却依頼を受けようとする不動産会社があります。反対に、相場よりも安い査定額を信じ込ませて楽に売却しようとする不動産会社もあります。
しかし、それらは複数の不動産会社に査定依頼をして、価格の根拠や販売戦略などをたくさん聞いていれば回避できたともいえます。
売却査定は売り出し価格を決めるために行うものですが、その査定額がどのような根拠に基づいて決定したるのかという理由のほうが、査定額自体よりもはるかに重要なのです。
したがって、高額の査定額を提示した不動産会社だから販売力があるのではなく、より具体的で論理的な理由に基づいた査定ができる不動産会社こそ、相場を読む能力や販売力があるといえるのです。
ですから、査定額とともに確かな根拠が示されたかどうかに注目するとよいでしょう。査定額の根拠が理解できたなら、売り出し価格に自信が持てるうえに、その後の市場の変化にも追随できるからです。
不動産の住み替えでは売却と購入を1社に任せることになります。住み替えの相談から引っ越し完了までは3〜6か月はかかりますので、売却査定はパートナーを選ぶという大きな意味もあるのです。
査定依頼は複数不動産会社に並行して依頼するため、短期間に何人もの担当者と接します。その際には、不動産の素人でも理解できるように丁寧に解説してくれる誠実さがあるかどうかを観察するとよいでしょう。
住み替えを成功へ導くために、以下のポイントを確認しておきましょう。
住み替えを成功させるには、まず売買仲介がメインの不動産会社かどうかを確認しましょう。
賃貸がメインの不動産会社は売買仲介の知識や経験が乏しいことが多く、特にテクニカルな住み替えを任せるには不安です。また、建て売りや買取転売がメインの不動産会社は自社が売主の物件ばかりを売ろうとする傾向があります。
売買仲介をメインに行っていて、フットワークが軽くて返答が早い担当者なら、不動産や建築の法令や住宅ローンにも詳しいと想像できます。何を聞いてもすぐに明確な返答ができる人かどうかを見るだけでも、失敗を回避する効果は高いといえるでしょう。
駅近くのマンションは何度も仲介した経験があるが、郊外の戸建てエリアの仲介経験は乏しいとなど、担当者によって得意・不得意が分かれます。当然ながら住み替えるエリアでの経験が豊富な方を担当者にすべきです。
その不動産会社がどのような顧客をたくさん持っているのかは、不動産会社の得意・不得意に直結し販売力を左右します。〇〇市の戸建の仲介が得意なら、そのエリアの戸建ての査定額は強気で高額になり、根拠も明確に答えられるはずです。
不動産の売れ行きを左右するのは商品力(不動産そのものの魅力)ですが、魅力的に見せるのもメリットを上手に伝えるのも人です。売れる人は売れる雰囲気を持っていて、接していて心地よいはずです。
不動産取引において、担当者との相性はとても大切です。不信感をもったままで大切な住み替えを任せる必要はないのです。
不動産を売却する際の売り出し価格を決めるには、不動産会社の査定額を参考にします。査定額は類似物件の取引事例をもとに、競合物件とのバランスやその物件固有の条件などで補正をして決定します。
売却査定は査定額を知るために行いますが、なぜその査定額になるのかという明確な根拠を知ることがもっと大切です。そして、難解な住み替えを成功させるために長期間のお付き合いをする、信頼できる担当者を探すという別の大切な目的もあつのです。
住み替える物件と類似した物件を扱った経験が豊富で、フットワークが軽くて心地よい雰囲気を持った担当者を見つけ、住み替えを成功させましょう。
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