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  • 住み替えノウハウ

2023.08.28

2023.08.18

住み替え成功の鍵は失敗例の理解と対策!流れや資金計画、不動産会社選びのポイント

目次

住み替えができる条件とは

 

マイホームの住み替えができる条件とは何でしょうか。

答えは「自己資金が用意できて住宅ローンが組めれば誰でもできる」です。仮に、旧居(今住んでいる家)が住宅ローンの返済中であっても、旧居の売却金および自己資金で住宅ローンが完済できるなら、住み替え先の購入で新たに住宅ローンが組めるため住み替えができるのです。


ただし、あらかじめ住み替えに関する知識が乏しい場合には「旧居がなかなか売れず最後は格安で売却した」「購入物件を探す時間が少なく妥協して決めた」「資金計画が甘かったため自己資金が不足した」などの失敗を経験するかもしれません。

 

しかし、これらの失敗は事前に正しい知識を付けて対策を講じればおおむね回避できるともいえます。まずは、住み替えの流れや資金計画などの基本を理解し、後述の失敗例や対策も併せてご参照ください。

 

住み替えで失敗したくないなら流れを正しく理解しよう

 

理想の住み替えとは希望条件を満たす家に引っ越すことですが、そのためには旧居の売却と新居探しを平行して行い、両方を成功させなければなりません。

 

ただし、家の売却期間は数か月にわたることが多く、希望の家が予算内で見つかる保証もありません。また、不動産のような難解で専門的な手続きを、不動産会社のサポートなしに個人が単独で行うのは困難です。

 

そのため、不動産会社選びが重要になるのはもちろんですが、住み替えをする本人が自分事として知識を付け、住み替え活動に積極的に関わっていく姿勢も大切なのです。

 

まずは、住み替えの基礎知識である「住み替えの流れ」について解説します。

 

旧居の売却には少なくとも2か月程度かかります。その理由は、売却開始から1か月で買主が決まったとしても、売買契約の締結から旧居を引渡すまでにはさらに約1か月を要するからです。ちなみにこの売買契約から引き渡しまでの1か月とは、住宅ローンの本審査申込から本承認までの約2週間と、そこから住宅ローンの実行準備の約2週間です。

 

つまり、3月下旬に住み替えの完了を予定している場合には、少なくともその2か月前の1月下旬には旧居の売却を開始している必要があります。また、高額での売却を目指すなら売却期間を長く想定しておくべきであり、住み替える年の前年の11月や12月には売却活動をスタートさせる想定で動かないと間に合わない可能性もあるのです。

 

住み替えには売り先行と買い先行がある

 

住み替えには、旧居の売却が決まってから新居を購入する「売り先行」と新居を購入してから旧居を売却する「買い先行」があります。

 

売り先行の特徴は下記のとおりです。

  • 旧居を売却してローンを一括返済するため、住宅ローンは新居購入で組む1本のみ
  • 旧居の決済引き渡しまでに新居が購入できなければ、仮住まいに引っ越す必要がある
  • 旧居と新居の決済引き渡しを同時にするには、新居選びの時間がとれない場合もある

 

売り先行が適している状況は下記のとおりです。

旧居で住宅ローンの返済が残っている場合

旧居の住宅ローンを残したまま新居でも新たな住宅ローンを組んだ場合には、月々の返済額がかなり高額になります。そのため、ダブルローンの審査基準は非常に厳しく、審査に通るのは年収が高い方などに限られます。つまり、住宅ローンが残っている家の売却では売り先行にする場合が一般的なのです。

 

この場合に、足りない資金分だけを一時的に借りられる「つなぎ融資」や、旧居のローン返済の不足分を新居のローンに上乗せして借りられる「住み替えローン」があります。しかし、これらも審査基準が厳しいため、利用したくても必ず審査に通るとは限りません。

 

旧居を高額で売却したい場合

売り先行ならまずは売却に専念できるため、相場よりも高額で売り出して様子をみながら価格を調整していけます。高額での売却をじっくり狙いたい方は売り先行が適しています。

 

確実な資金計画で住み替えたい場合

売り先行では先に売却が確定するため、旧居の住宅ローンを確実に返済して抵当権を抹消し、新居購入の資金計画を明確に立てて実行できます。自己資金にゆとりがない場合の住み替えでは、確実にクリアできる資金計画の策定と実行が必須です。

 

買い先行の特徴は下記のとおりです。

  • 新居と旧居で2本の住宅ローンになり、旧居売却まで高額の返済が必要になる
  • 先に完成した新居を購入する場合には、旧居の売却後の仮住まいは必要ない
  • 時間をかけて納得するまで新居探しをして、売却はその後にゆっくり行える

 

買い先行が適している状況は下記のとおりです。

旧居を空き家の状態で売却するため、内覧の準備やスケジュール調整が要らない

内覧が多い土日祝日には売主の個人的な予定もあってスケジュール調整は大変です。しかも、内覧者の印象を良くするために事前に整理整頓や清掃をする手間がかかります。しかし、新居に引っ越して旧居が空き家ならいつでも内覧できるため、多くの内覧チャンスを活かせます。

 

また、すぐに引っ越せる空き家は買主にとって都合が良いため、売却しやすいというメリットもあります。

 

先行して新居を購入するため、仮住まいに引っ越す手間や費用がかからない

仮住まいを賃貸で用意するには敷金や家賃や仲介手数料などで100万円前後かかることもあり、また引っ越しの荷造りの手間や引っ越し代などの費用までかかります。しかし、先に完成した新居を購入していればいつでも引っ越せるというメリットがあります。

 

旧居の売却に関係なく時間をかけられるため、妥協なく納得の新居探しができる

売り先行のように旧居の決済までに新居を探すという時間的な成約がないため、希望する条件の新居が見つかるまでじっくりと家探しができます。ただし、ダブルローンが組める方は一部に限られるため、誰でも買い先行ができるわけではない点には注意が必要です。

 

 

旧居の買取で売却と購入のタイミングを合わせる

 

多くの住み替えは売り先行の方法で行われ、仮住まいをしなくて済むように旧居の売却と新居の購入のタイミングを合わせます。もしも、先に購入したい物件が見つかった場合には購入の売買契約を締結しますが、その場合には一定期間内に売却しなければ住み替えが成立しません。

 

そのような場合には、不動産会社を買主として旧居を直接買い取ってもらう方法があります。買取なら一般の買主を待たなくても確実に旧居が売却でき、決済日の調整も容易です。

 

ただし、多くの買取は再販売が前提になるため、買取金額は再販売の経費・リフォーム代・再販売の利益を見込んだ金額になります。買取金額は流通相場の70%といわれるなど売価が安いのがデメリットです。しかし、欲しい物件を確実に購入したいなら、選択肢の一つとして検討すべきでしょう。

 

なお、売却を担当する不動産会社自身が旧居を直接買い取ってくれる場合には仲介手数料は要りませんが、不動産会社が買取業者を紹介する場合には仲介手数料がかかります。ですから、不動産会社選びの際には「自社買取」ができるかどうかを確認し、売却査定と同時に買取金額の査定も忘れずに行いましょう。

 

住み替えの売却準備の失敗例と対策

住み替えに失敗しないためには、失敗例から学ぶことが大切です。ここでは住み替えの売却準備段階における失敗と対策について解説します。

 

はじめから仲介手数料が安い1社に絞って売却を依頼した

 

仲介手数料の金額には法定の上限額があり、それを超えない範囲内なら手数料の金額は自由です。仲介業者によって仲介手数料の金額が異なるのはそのためです。仮に不動産価格が5,000万円とするなら仲介手数料が税込3.3%の不動産会社は約165万円、税込2.2%の不動産会社は約110万円であり、その差額は55万円にもなります。

 

仲介手数料だけで比較すれば安いほうがお得なのですが、不動産会社の実力によって売却金額が差がでるため、手数料が安いからといって初めから不動産会社1社に絞って任せるのは賢明ではありません。なぜなら、不動産会社や担当者によってマンションや戸建てなどの得意分野があり、不得意な価格帯やエリアがあるかもしれないからです。

 

不動産会社を決める際には、必ず複数社に売却査定を依頼して査定金額や金額の根拠を参照し、担当者の人となりや受け答えの誠実さ、想定する販売戦略などを比較検討すべきです。その場合には、大手の不動産会社だからとか知人だからというフィルターを外し、公平な目線で担当者の実力を判断しましょう。

 

査定価格が高い不動産会社は販売力が高いと勘違いした

 

複数社に売却査定をした場合でも、同じ物件を査定しているのでたいていの場合には似通った査定金額になるものです。しかし、時には突出して高額の査定金額が出てくることもあります。また、ポストに「この地域で5,500万円でお探しの方がいます」というチラシが投函されていることもあります。

 

売主としては自分の家に高い価値を見いだしてくれたことを嬉しく思い、高額で売却できる不動産会社かもしれないと錯覚してしまうでしょう。しかし、そのような売主の気持ちを逆手に取って、売れもしない金額で信用を得ようとする悪質な担当者がいる場合もあるのです。

 

不動産の査定金額とは、類似物件の直近の取引事例・売却時期・物件の劣化状況・競合物件の動向などによって決まるため、査定金額には明確な根拠が必ずあります。不動産会社が示した査定金額の根拠に無理がなく理路整然としているなら、その査定金額はおおむね間違いないといえるでしょう。ただし、その判断の精度を上げるために売主自身もネットなどから情報を集めて、不動産の相場観を養っておくことはとても重要なのです。

 

必要書類が見つからないなど書類の準備に苦労した

 

住み替えでは売却と購入とを行いますが、売却では旧居に関する資料、購入では住宅ローンの審査に使う資料が必要です。また、不動産の名義を書き換える不動産登記に必要な書類も併せて必要になります。いずれも普段は目にすることがない公的な書類が多く、なかには再発行ができないものも含まれているため、揃えるのに時間がかかる場合があります。

 

また、書類が揃わないために住宅ローンの事前審査が遅くなり、タッチの差で希望する物件が買えなかったという場合も人気物件では珍しくありません。不動産会社に住み替えを相談する際には、住み替えに必要な書類を早めに聞いておいて、直前になってあわてることがないように早めの準備に取りかかるようにしましょう。

 

なお、必要書類の詳細については後述します。

 

住み替え資金を把握しておらず自己資金が足りなくなった

 

住み替えには、売却と購入でそれぞれ現金を指定された期日に用意しなければなりません。目安として、売却経費は売却金額の約4%で住宅ローンを組んだ場合に購入経費は購入金額の約8%を、それぞれ現金で用意し一括で支払います。

 

また、売却金額が想定よりも安くなり売却金だけで住宅ローンが完済できない場合の不足金、リフォームや家具家電の購入や引っ越し費用、税金なども資金計画に組み入れて準備しておかなければなりません。場合によっては、親族へサポートを依頼するために住み替えの計画などを事前に話しておくと、万一の場合でもスムーズにいくでしょう。

 

なお、住み替え資金の詳細については後述します。

 

住み替えの売却活動中の失敗例と対策

 

ここでは、住み替えの失敗例のうち、住み替えの売却活動中における失敗と対策について解説します。

 

相場を理解しておらず必要以上の値下げ要求に応じた

 

売却査定の段階で相場を提示されていたものの、それから時間が経って相場が変動したを考えられる場合や、売却期日が迫って焦っている場合には大幅な値下げ交渉を承諾してしまいがちです。

 

しかし、春以外の不動産価格が低い時期でめぼしい購入物件もないなど旧居を売り急ぐ必要がないのなら、値下げして販売を継続するのではなくいったん販売を中止して時期を変えるという選択肢もあります。特に、一部地域のように中古価格が上昇している局面なら、時期をずらすことが最善策になる場合があります。

 

確かに、詳細な不動産価格や変化する市場の動向を個人が察知するのは困難ですが、自分でもライバル物件の数や価格を見てある程度判断できる状態にあるのが望ましいといえるでしょう。

 

売却に適さない時期に売り始めて売却期間が長引いた

 

居住用不動産の相場は、異動や新学期に合わせた3月がピークで、それ以外は需要が少なくなり流通相場は下がります。そのため、同時期に売り出されている競合物件がたくさんあって値下げ競争になっているなどの理由がある場合には、いったん販売を中止して別の時期に売り出すなどの対策ができます。

 

しかし、次に販売を再開するまでのあいだに類似物件で格安の取引事例ができてしまうと、その物件の契約価格が基準になって流通相場が下がってしまう可能性がある点には注意が必要です。

 

高額のリフォームをしたが資金を全額回収できなかった

 

売却物件は状態がきれいなほうが売れ行きがよくなるものですが、リフォーム代を上乗せした価格が相場よりもはるかに高くなれば反対に売れにくくなります。また、購入後のリフォームは家を買主の好みに仕上げられるため、買主の楽しみのひとつでもあります。しかし、自分の好みではないリフォームがされているために購入しないという方は少なくありません。

 

このように、費用の回収面でも購買意欲への影響においても、高額のリフォームが必ずしもプラスに働かないことを考慮すべきです。破損箇所の修復やハウスクリーニング程度にとどめるほうがよい場合かどうか、自分だけで決めず不動産会社と相談しながら行うようにしましょう。

 

内覧時に買主へ現宅のメリットをアピールできなかった

 

買主は現地を内覧することで物件の善し悪しを判断しますが、短時間ではメリット・デメリットの多くに気づけていないことが多いものです。そのため、学校までの道中は交通量が少ないとか、駅から家までの夜道が明るいとか、真夏でも西日があまり射し込まないとか、住んでみないと分からないメリットはできる限り担当者から買主側の不動産会社へ共有しておくようにしましょう。

 

例えば、内覧者が子育て世代なら子どもに関するメリット、DINKSなら通勤の便利さや深夜営業のお店、高齢者なら医療機関やバス便の充実ぶりなどの情報が喜ばれるでしょう。

 

不動産会社に任せきって担当者の怠慢に気づけなかった

 

不動産会社の担当者は同時にいくつもの案件を抱えています。そのため、繁忙期には案件に優先順位が付けられて、1案件に割く労力や時間に差がでてしまいます。自分の物件の優先順位を上げるためには、売主が積極的に売却活動に参加して報告や改善策を求めることです。

 

大手の不動産会社は売り依頼がたくさん集まりやすいため、なかには捌ききれないほどの案件を抱える担当者がいます。そして、口うるさく言ってこない売主の案件は怠け心が出やすくなるため、担当者の案件に対する怠慢の抑止力として、売主が定期的に担当者へ連絡をするなどの努力も必要でしょう。特に、歩合制の営業マンなら売れやすい物件を優先する傾向にあるため、価格は相場にあわせて売りやすく設定するなど、柔軟に応じる心構えがあるとよいでしょう。

 

買い替え特約を付けておらず購入物件は手付解除をした

 

買い替え特約とは新居の売買契約書中に付した特約で「旧居が〇月〇日までに〇〇万円以上で売却できない場合には、新居の売買契約を白紙解除できる」とする内容です。

 

この買い替え特約があれば、特約で決めた条件を満たす場合には新居の売買契約は手付金の放棄や違約金の支払いをしないでも解除ができます。ただし、1度契約した新居の売買契約が白紙撤回されると売主の売却に関する機会損失がかなり大きいため、必ず付けられるわけではなく売主が承諾した場合に限った特約である点にご注意ください。

 

買取の選択肢をしていれば購入物件を取られずに済んだ

 

買取は初めから買取を希望する場合と、仲介で一定期間販売活動をしても売却できなかった場合に事前に約束した金額で不動産会社が買い取るという「買取保証」の場合があります。どうしても購入したい物件があるものの旧居の売却がうまくいかない場合には、買取があれば期日内に確実に買い替えができます。

 

相場より安くで買い取ってもらっても資金計画が上手くいくなら、買取は住み替えを成功させるために有効な手段です。また、不動産仲介会社が自社買い取りしてくれれば仲介手数料の支払いは不要であり、売買契約時に買主に告知されていない不具合箇所が物件の引き渡し後に買主によって発見された場合の責任(契約不適合責任)も免責になる場合がほとんどです。

また、近隣に売却していることを知られたくない場合にも買取を選ぶ場合があります。

 

オーバーローンの解消で多額の自己資金が必要になった

 

住宅ローン返済中の家を売却する場合には、住宅ローンを完済して家に付けられている抵当権を抹消してから、新しい買主へ家の所有権を移転します。しかし、売却金でローンが完済できないほどローン残高が大きくて抵当権が消せない状況を「オーバーローン」といいます。

 

オーバーローンの状況でも不足分を自己資金もしくは住み替えローンでまかなえば抵当権は消せます。そのため、売却価格が安くなることでオーバーローンになる可能性がある家の売却では、万一の時のために自己資金の準備やローン審査をしておく必要があるのです。

 

オーバーローンの場合に「任意売却」という売却方法をとる場合がありますが、銀行の承諾を得てから銀行へのローン返済を意図的に滞納し、裁判所の強制執行直前の状態にして行わなければなりません。また、家庭裁判所の手続きを邪魔せずに進める必要があり、個人信用情報にローン滞納の記録が残ってしまうため、住み替え前提の売却では任意売却を選択することはまずありません。

 

不動産会社から囲い込みを受けて売却期間が長引いた

 

不動産会社が売主の機会損失になる「囲い込み」をすると、売却期間が長引いて価格が下がったり売れ残ったりする場合があります。囲い込みとは、自社だけが売却活動を行い他社が仲介できないように妨害する行為で、自社だけで売主と買主の両方を見付けて仲介手数料をたくさんもらおうとする不動産会社の身勝手な行為です。

 

囲い込みは、売却する不動産会社が1社専任窓口の場合に起こりやすく、売主自らが囲い込みの状態に気づくのは困難です。なお、囲い込みを防ぐには売却活動の開始時点で不動産会社へ囲い込みをしないよう忠告しておくか、1社専任ではなく一般媒介契約にしておくという方法があります。

 

売主側・買主側のそれぞれに不動産会社がついている状況を「片手取引」といいます。上記の図では、不動産会社Aは売主から不動産会社Bは買主から、それぞれ仲介手数料をもらいます。

 

一方で、売主側・買主側を1社の不動産会社が仲介する状況を「両手取引」といいます。上記の図では、不動産会社Aは売主・買主、両者から仲介手数料がもらえるため、片手取引の2倍の報酬がもらえます。

 

囲い込みとは、不動産会社が「両手取引」の状況を意図的に作りだす行為です。例えば、他社から物件の問い合わせや内覧の希望があっても、「商談中や近日契約予定」もしくは「売却が中止になった」などと嘘をついて、物件情報を他社に開示せず顧客へ紹介できないように仕向けるのです。

 

住み替え後に気づいた失敗例と対策

 

ここでは、住み替えの失敗例のうち、住み替え後に気づいた失敗と対策について解説します。

 

以前と環境が変わらず住み替えたメリットが感じられない

 

住み替えを済ませたものの、以前の環境とは一長一短であり住み替えのメリットが感じられないという場合があります。住み替えには多くの費用と労力と時間を費やします。そのため、旧居よりも良い環境を得るために決意した住み替えが、本当に自分たちの将来にとって必要なのかをよく考えて行う必要があるのです。

 

例えば、子どもの成長や親との同居などで部屋の数が足りなくなった場合や、転勤などで止むなく住環境を変えなければならない場合など、住み替えの根本的な動機を冷静になって考えるようにしましょう。

 

ローン返済・税金・その他経費が思った以上にかかる

 

住み替え先の物件選定は妥協せずに選びたいものですが、住宅ローンが組めるからといって最大借入可能額で予算を組むべきかどうかは慎重に考える必要があります。子育て世代なら教育費は増えていき家計のやりくりは大変です。また、今の年収や雇用がこの先も保証される世の中ではなくなりました。

 

そして、金利が上昇すれば住宅ローンの返済額は増えることになり、火災保険の掛け金に関しては現に徐々に増額しています。マンションなら管理費・修繕積立金・駐車場代は築年数の経過や物価の上昇に伴って増額するでしょう。

 

また、不動産取引では売却契約時・売却決済時・購入契約時・購入決済時・住み替え後に所定の税金がかかります。そのうちの印紙税は、売却や購入の金額やローン借入金額などによって異なり、軽減税率を適用した控除後の金額を納税します。

 

さらに、登録免許税や固定資産税・都市計画税は不動産ごとの固定資産評価額に一定の料率をかけ、軽減税率が適用される場合には控除後の金額を納税します。納税額は購入する不動産によって変動するため、思った以上に税金が高かったり将来的に軽減措置がなくなって税金が上がったりすることを想定しておきましょう。

 

現時点で住宅ローン控除は最大で13年間という期限があり、土地や新築建物に対する固定資産税への軽減措置もいずれ軽減措置期間が満了すれば増額することになるからです。

 

住み替え後に契約不適合責任として多額の費用がかかった

 

物件の引き渡し後に、売買や請負契約時点で売主から買主へ告知していない物件の不具合が見つかった場合には、売主は買主から法的責任を問われる場合がありますが、これを「契約不適合責任」といいます。この場合に、買主は①履行の追完請求・②代金減額請求・③損害賠償請求・④契約の解除の請求や主張ができます。

 

引き渡し後の紛争を避けるために、インスペクション(建物状況調査)を第三者に有償で依頼するケースが増えています。このように、プロの目線から建物の現状を詳しく調べ契約書に記載して買主へ告知することで、売主買主双方が安心して取引が行えるようになります。そして、引き渡し後に買主から請求されるかもしれない契約不適合責任を回避することもできるのです。

 

住み替えに必要な費用

 

住み替えに必要な費用や書類について詳しく解説します。

 

住み替え手続きに必要な費用

 

5,000万円の住宅やローンで戸建て(内訳:建物2,000万円、土地3,000万円)を売却および購入した場合には、概算で下記の諸費用がかかります。ただし固定資産評価額は建物:1,500万円、土地:2,000万円とします。

 

住み替え諸費用の概算

売却時 購入時
手付金(約3%) 約150万円
仲介手数料(約3.3%) 約165万円 約165万円
印紙税 1万円 1万円
住宅ローン手数料 約2.2万円 約5.5万円
火災保険料 約10万円
登録免許税 約0.4万円 約39.5万円
司法書士費用 約1万円 約5万円
固定資産税など 約6万円
合計 約169.6万円 約382万円
売却金額の約3.39% 購入金額の約7.64%

上記以外にも、引っ越し費用やリフォーム費用などがかかる場合があります。

 

住み替え後に必要な費用

 

住み替えの際の旧居売却で利益が出た場合には「譲渡所得税」がかかります。譲渡所得税は旧居の購入から売却までの不動産所有期間によって下記の2つに区分されます。

 

  • 短期譲渡所得税:不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下
  • 長期譲渡所得税:不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超え

※ 実際の不動産所有期間が5年超でも短期譲渡所得に分類される場合があります。

所得税率 住民税率 合計税率
短期譲渡所得税 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得税 15.315% 5% 20.315%

税率を掛ける課税譲渡所得の計算方法

 課税譲渡所得 = 売却価額 – 取得費 – 譲渡費用


なお、取得費及び譲渡費用の定義や費用例は下表のとおりです。

取得費の例 ・土地の購入金額

・建物の購入金額から減価償却費を控除した金額

・上記以外で購入時に際してかかった費用

(例)

購入時の仲介手数料・登録免許税・司法書士費用、不動産取得税、印紙税、固定資産税精算分、立ち退き料、建物解体費用、訴訟費用、違約金、リフォーム費用、改良造成費用など

譲渡費用の例 ・上記取得費および維持管理費用を除く費用

・譲渡に際し譲渡のために直接支払った費用

・譲渡に際し譲渡価額を増大させるために支払った費用

(例)

譲渡時の仲介手数料・登録免許税・司法書士費用、印紙税、土地測量費用、建物解体費用、立ち退き料、違約金、旅費・交通費、広告料、弁護士・税理士・コンサル費用、リフォーム・クリーニング費用、ゴミ撤去処分費用、引っ越し費用、固定資産税・都市計画税など

 

ただし、自己居住用の不動産を売却した場合には下記の特別控除があるため、一般的なマイホームの売却で譲渡所得(経費を差し引いた売却益)が3,000万円に満たない場合には、譲渡所得税が課税されることはありません。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • マイホームを歌時の軽減税率の特例

 

住み替えに必要な書類

住み替えに必要な書類は下表のとおりです。取得期限が決まっているものや再発行ができないものなどがあるため、直前であわてることがないよう早めに探しはじめておきましょう。

 

必要書類一覧(必須でないものも含む)

売却時 購入時
・免許証など本人確認書類

・住民票(発行後3か月)

・実印

・印鑑証明書(発行後3か月)

・登記識別情報(登記済証または権利証)

・固定資産税評価証明書(納税通知書)

・建築確認済証、検査済証

・ローン残高証明書(または返済予定表)

・履歴事項証明書(新しいほど良い)

・公図、地積測量図、建物図面

・ブルーマップ写し

・各種調査報告書

・協定書、覚書

・仕様書、取扱説明書、保証書

・購入時の売買契約書、重要事項説明書

・購入時の不動産広告

・銀行通帳の原本

・不動産のカギ

・免許証など本人確認書類

・収入証明(源泉徴収票、確定申告書、決算報告書)

・購入時の不動産広告

・住民票(発行後3か月)

・実印

・印鑑証明書(発行後3か月)



住み替えで成功するための不動産会社選び

住み替えにおける失敗例と対策を挙げてきましたので、何度か読み返していただければ住み替えに失敗する可能性は大幅に下げられるでしょう。しかし、専門性が高くて手続きが難解な不動産手続きは、不動産会社のサポートを受けずに自力で間違いなく行うのは困難です。

 

そのため、その地域での住み替えを担当した経験が豊富で売却能力が高い担当者や、信頼できる不動産会社を選ぶことが、住み替えの成功を左右するといえるでしょう。

 

手数料の安さ・査定金額の高さ・大手のネームバリューよりも、査定の根拠や市場を読む目を持ち合わせ、事前にリスク回避の具体策を授けてくれる誠実で親身な担当者を見付けることが大切なのです。

 

そのためにも、まずは売却査定は必ず複数社へ依頼してできるだけ多くの査定金額・根拠・市場の動向・販売戦略の情報を入手します。そして、査定担当者のなかから最良の担当者を注意深く探しましょう。

 

住み替えに失敗しないために不動産会社選びは重要

住み替えで失敗を回避するには、住み替えの基礎知識を付けて失敗例と対策をセットで覚えておく必要があります。まずは、住み替えの流れを知って、最良の売却時期を選び早めの売り出し準備をしておくことが重要です。

住み替え費用と必要書類についてはこちらの記事を見返し、複数社へ売却査定を依頼して相場や根拠を把握しつつ、必要以上に値下げを要求してこない誠実な担当者を探し出すようにしてください。

不動産会社や担当者選びを間違えると、囲い込みで売却期間が長引いたり怠慢によって売却後に問題が起きるたりする可能性があります。ですから、少しでも担当者の言動に違和感を感じたら、遠慮せずに不動産会社を変更するなど、環境を変える行動をすべきでしょう。

 

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この記事を書いた人

ARUHI 住み替えコンシェルジュ
編集部

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